「オリーブの実るころ」中島京子著

公開日: 更新日:

「オリーブの実るころ」中島京子著

 母の死後、アパートで1人暮らしをする父の豊と連絡がつかなくなった。心配する息子のひろしに「終活をしている。しばらく帰れません」とメッセージが届く。どこにいるかだけでも教えてとメールをすると、数日後に「ヒューゲルベルクとブライテンインゼルの間あたり」と返信があった。

 豊がいたのは、南ドイツではなく瀬戸内海に面したとある町だった。そこで市議選に立候補した38歳のシングルマザーの選挙運動のボランティアをしていたのだ。ネットサーフィン中に目にした動画で彼女のことを知り、居ても立ってもいられず、定期預金を解約して駆け付けたのだ。(「ローゼンブルクで恋をして」)

 ほかにも離婚や妊娠など、多くの人が直面する人生の問題をテーマに、軽やかに料理し、描く短編集。

(講談社 715円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較