佐野広実(作家)

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1月×日 ご存じと思うが、ミステリーの小説やドラマには一種のパターンがある。「ラストは断崖絶壁」といったものではなく、物語の構造のことだ。例えば「最初のうち犯人かと怪しまれていた人が実はいい人で、いい人と思われていた奴こそが真犯人だった」などは定番だ。もちろん何の根拠もないまま「真犯人」を指摘しても誰も納得しないから、探偵役が「新事実」を暴露して「まるっとお見通しだ」となる。ただし、この「新事実」が間違っていた場合「真相」は捻じ曲げられ、正しい犯人にたどり着けない。現実問題で同じような事態が起きたら、とんでもないことである。

 黒猫ドラネコほか著「陰謀論と排外主義~分断社会を読み解く7つの視点~」(扶桑社 1100円)はカルトや陰謀論、排外主義などに対する当代の識者が論考をまとめた1冊で、目下世界規模で起きている現象をどう捉えればよいか参考になる1冊だ。

 で、「やはり」と思ったのだ。陰謀論の根っこにある思考方法はミステリーのパターンに毒された結果なのではないか、と。

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