著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第15回>政治家よりも経済人よりも日中友好に寄与した

公開日: 更新日:

 ロケの舞台、中国雲南省にある麗江。標高は2400メートル。高原で空気は乾燥しており、紫外線も強い場所だ。高倉健はそこへひとりで出かけて行った。マネジャーも付き人も連れて行っていない。中国スタッフのなかに単身、乗り込んでいった。

 本人はこう語る。

「『単騎、千里を走る。』は三国志に由来するもので、中国の仮面劇の演目です。チャン・イーモウ監督から、その題名を聞いた時、僕は『ひとりでどこかへ旅する映画なんだな』とふと想像しました。

 途中からスタイリストとヘアメークには来てもらいましたが、(麗江へは)ひとりで出かけて行きました。題名通り、僕も単騎で撮影に臨んだ方がいいと考えたのです。

 最初のうちは目が乾いて困りました。映画俳優という仕事は照明を目に当てられても、まばたきをしてはいけない仕事です。強い紫外線と乾燥した空気に適応するまでに10日間はかかりました。でも、そんなこと言っちゃいけない。体に悪いことを承知でやるのが俳優の仕事なんだから」

 本作で、高倉健は漁師の役をやっている。息子は民俗学者(中井貴一、声だけの出演)。息子が病気になり、代わりに父親役である高倉健が中国に出かけて、息子が果たせなかった夢を実現しようとする。

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