著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第15回>政治家よりも経済人よりも日中友好に寄与した

公開日: 更新日:

 チャン監督の映画の特徴は出演者が素人であること。

「地方に暮らす人々を描くためには、そこに実際に住む人の心情が映し出されていなくてはいけない」

 それがチャン監督の考え方で、同映画に出てくる観光ガイド役のチュー・リンは実際にその仕事をやっている。ロケを見学に行った時、出演が終わっていたチュー・リンは実際にわたしのために観光ガイドをしてくれた。もちろん、わたしもガイド料を支払った。

 チュー・リンは高倉健について、こう言っていた。

「高倉さんは中国人にとってはあこがれの俳優です。誰でも、あの人のことは知っています。ロケの間、どんな時でもあの人が腰かけて休んでいるのを見たことはありませんでした。私たち出演者、スタッフはみんな、あの人の立派な態度に心を打たれて映画に協力しました」

 政治家よりも経済人よりも、日中友好に寄与したのは高倉健だ。この映画を見ると、その事実がわかる。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」