区議に転身して3年…「筆談ホステス」斉藤りえさんは今

公開日: 更新日:

心ないバッシング「悲しかった」

 さて、青森県に生まれた斉藤さんは髄膜炎の後遺症により、1歳10カ月で聴力を失った。高校時代に経験したアパレルショップでのバイトで接客業の楽しさに目覚め、19歳でホステスの道に。07年に上京し、銀座のクラブの門を叩いた。

「時にはカウンセリングの役割までこなすのがホステスの仕事ですが、耳が聞こえない私は、お客さまが話すことのすべてを理解できないことも。どんな気持ちでおっしゃっているのだろう? と常に考えながら会話をするように心がけていました」

 ハンディキャップを乗り越え、夜の銀座で生き抜く姿が話題となり、知人から出版社の人を紹介され、自身の半生をつづった「筆談ホステス」を出版。テレビ出演や講演会の依頼も舞い込むようになった。だが、その一方で“やらせ疑惑”など、心ないバッシングも浴びた。

「悲しかったですね。私の場合は筆談しながら『口話法』で会話をしますが、相手によって筆談の活用率が異なるため、筆談していない時だけを見て“やらせ”と捉えられたのかもしれません」

 ところで、なぜ政治の道を選んだのか?

「私はずっと、障がいのある方々がもっと活躍できるようにサポートしたい、と考えていました。東京でのパラリンピック開催が決まり、思いが強まる中、知人の議員さんからお声をかけていただき心を決めました。本の印税や講演料を選挙資金に使わせていただきました」

 現在は障がい者の就労支援や教育サポートの充実、働く女性の子育てと仕事の両立支援などに取り組む。パラリンピックでは、世界中から訪れる選手と観客を「バリアフリーの心でおもてなししたい」と意気込んでいる。

 (取材・文 箕浦恵理)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因