ビリー・バンバン菅原進さん 胸に刺さった「Your Song」

公開日: 更新日:

 その後、中野と兄の3人のバンドになり、1969年に、兄とデュオを組んだデビュー曲「白いブランコ」がヒットするわけだけど、衝撃だったのはその翌年、70年にラジオから流れてきた何ともいえない繊細なメロディーの曲。エルトン・ジョンの「Your Song」でした。

 その頃のアメリカンポップス、フォークはPPMの「500マイルもはなれて」や「花はどこへ行った」にしても、スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」にしても反戦歌だけど、アメリカも変わりつつあった。テレビでは「うちのママは世界一」とか「パパは何でも知っている」といったホームドラマが人気になって、戦後と異なる古き良きアメリカ、憧れの世界が広がっていた。

 そんな時代だったからだと思います。「Your Song」で歌っているロマンチックな歌詞とメロディーに胸を突き刺されるような衝撃を覚えました。「君のようなすてきな瞳をした人を見たことがない」というフレーズなんか、しびれましたね。すてきな瞳は「グリーンかブルーか忘れちゃったけど」って。いいですね。彼の長年のパートナーのバーニー・トーピンが書いた詞ですが、本当に繊細だなあと思いました。

 その頃の日本のブームはグループサウンズからフォークソングに移り変わってきた時期です。「Your Song」が受け入れられる時代になっていたのかなと思います。

■歌い方も影響を受けた

 当時、僕は最初の奥さんと付き合い始めた頃です。「Your Song」がそのまま心情を歌ってくれている気がしたというのもあるかもしれない。朝起きたらこの歌を聴き、口ずさみ、何回聴いても飽きず、寝る前まで繰り返し繰り返し聴きました。

 歌い方も影響を受けました。強く歌わず、ささやくようなウイスパーボイス。ビリー・バンバンもずっとそうです。ソフトな声をずっとキープしたまま、バイブレーションしない。実はこれが大変で難しい。エルトン・ジョンの場合、そういう歌い方もするのに、ロックンロールの激しい歌も歌うからすごいですね。よほど声帯が強いのでしょう。あの器用さはとてもマネできませんけど。

■兄弟で50年やってこられてよかった

 あまりカラオケはやらない方だけど、この曲だけは別。行くとよく歌います。歌ってみると難しいことがわかると思います。歌う人が多くないのはそのせいでしょう。でも、僕はうまいですよ、エルトン・ジョンより(笑い)。

 エルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」が公開されました。まだ見ていないけど「ボヘミアン・ラプソディ」のデクスター・フレッチャー監督がメガホンを取った映画だから、期待できますね。「Your Song」もどんなふうに描いているのか、楽しみにしています。

 デビューから50年。兄と僕とは聴いてきた音楽も違うし、方向性も違う(笑い)。性格も全然違う。はっきりいって仲の良い兄弟じゃないです(笑い)。でも、こうやって兄弟で50年、お互い病気も乗り越えてずっとやってこられて、本当によかった。これからもお兄さんとビリー・バンバンを続けていきたい。そこはお兄さんも同じ思いじゃないかな。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

♪8月に「50年の歴史 ~50Years History Best Of Billy BanBan~」をリリース

■11月16日に「50周年ツアーファイナル」を「かつしかシンフォニーヒルズ」モーツァルトホールで開催(開演15時30分)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  3. 3

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  4. 4

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  5. 5

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  4. 9

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  5. 10

    若林志穂さん「Nさん、早く捕まってください」と悲痛な叫び…直前に配信された対談動画に反応

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 2

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  5. 5

    維新の「議員定数1割削減」に潜む欺瞞…連立入りの絶対条件は“焼け太り”狙った露骨な党利党略

  1. 6

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 8

    「これが寝るってことだ」と感激…女優の岡崎友紀さん変形性股関節症との苦闘

  4. 9

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  5. 10

    公然わいせつ容疑で逮捕→釈放も“連帯責任”…Aぇ! group草間リチャード敬太の芸能界復帰はイバラの道