著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

興収&入場者数盛況も 東宝・ディズニーの2強崩す新機軸を

公開日: 更新日:

 昨年の映画人口(入場人員)が、前年より2570万人増え、1億9491万人を記録した。今週発表されたのだが、この数字がどの程度かというと、1970年代の初め頃と同じなのである。いわば、50年近く前に戻った。興収は2000年以降最高の2612億円。単純に数字を見れば、これは凄いことである。

「天気の子」「アナと雪の女王2」「アラジン」「トイ・ストーリー4」と、興収100億円台が4本登場した。東宝が相変わらず好調でヒット作を連発し、知名度の高い作品を揃えたディズニーも年間興収記録だった。この2社の健闘が、昨年の記録的な数字を生み出したといえる。東宝、ディズニーだけで、全体興収の50%を超える。

 ただ、両社の奮闘ぶりこそが映画界の大きな問題点のひとつとも考える。つまり、映画界は両社に依存し過ぎているのだ。この2社が数字を落とせば、それは映画界全体に大きな影響を及ぼしかねない。その“産業構造”を変えないと、真の映画界の発展には行きつかない。

 そのためにまず、邦画のさらなるテコ入れが必要だろう。ひとつ考えた。今の邦画のヒット作はテレビ局映画が多い。ここをさらに強化したらどうか。テレビ局映画のヒットの多くが、東宝に偏っている現状を崩すのだ。たとえば、テレビ朝日は東映と資本関係にあるのだから、両社共同企画で年間3本ぐらいは作ってほしい。両社得意の刑事ものの新機軸を期待する。

 テレビ東京は、若者のコア層中心に異色の企画で勝負できるのではないか。こちらも年間3本ほどを東宝以外でお願いしたい。テレビ局は広告収入が減っていると聞く。映画事業との連動で、番組そのものへの波及効果も狙いたい。とにかく、東宝、ディズニーへの依存の度合いを下げることが重要である。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  1. 6

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  2. 7

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  3. 8

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  4. 9

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  5. 10

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々