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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

一律給付さえない駆け出しの俳優たちよ、はらわたが煮えくり返る思いも演技で曝け出せ

公開日: 更新日:

 駆け出したちに、演技訓練の方法を聞かれたので、お金がかからないのは「マンウオッチング」と教えた。ニューヨークの演技学校で学んだ名優のダスティン・ホフマンは「卒業」(68年)に主演した後も、役者では食べられず、ソーホーの交差点を見渡せるガラス張りのカフェでウエーターのバイトをしながら、表を行き交うさまざまな人種の顔や歩き方を研究していたという。二十数年前だが、そこの店主から教えてもらった。「彼はいつも人を観察していた。でも、それを記憶して演技に役立つのならと思って許してあげたんだ」と。名作「真夜中のカーボーイ」(69年)で演じた、マンハッタンの街路を障害のある片足を引きずって歩くスラム街のホームレス役はまさにその研究成果だったに違いない。

「演技」は日々の感情の記憶を生かすのだからいろんなバイトも経験して損はない。18歳以上は10万円の一律給付さえないようだし、そのはらわたが煮えくり返る思いも記憶しておくことだ。いつか役立つに違いない。俳優は、このまがまがしい社会の鏡だ。感情を曝け出してやってくれ。

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