テレビ離れの中、ゼミ生全員が見ていたドラマ「カルテット」に感じた希望
同志社女子大学で教壇に立つ影山貴彦氏が、学生たちとのやりとりから見えてきた「当世メディア論」を語る。
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毎週ゼミの最初に「この1週間で何か気になることあった人?」と教え子たちに呼びかけるようにしています。大学教員になって20年、ずっと続けています。講義の本題に入る前の「マクラ」のようなもので、大体2~3人の話を聞くのです。
メディアエンターテインメントを専門にするゼミなので、「あの番組の評価が低いのは納得できない」とか、「タレントの不祥事を執拗に報道し続けるのはおかしい」といった、いわばど真ん中の話もありますが、「好きな人に告白しました!」「サークル主催のイベントが成功しました!」「お母さんが推しの俳優の結婚にショックを受けて、ご飯を作ってくれません!(笑)」などなど、とてもバラエティーに富んでいます。
私は笑って聞きながら時々合いの手を入れ、彼女たちがしゃべりやすくなる雰囲気をつくるように心掛けます。
コンビニでアルバイトしている学生が教えてくれた話です。小学校低学年くらいの見知らぬ女の子が泣きながら店に駆け込んできたそうです。近くの公園でかくれんぼをしていたところ、妹がいなくなってしまったというのです。すぐ店長に事情を話し許可を取り、その女の子と公園に向かった教え子。幸いほどなく女の子の妹を見つけることができました。公園の端にあるベンチの木陰ですやすやと寝ていたそうです。