米国では標準医療 まさかの「糞便移植法」で難病も治る

公開日: 更新日:

 それが2013年に有効性が認められ、脚光を浴びることになる。オランダのグループが、偽膜性腸炎の患者を対象に便移植と抗菌薬治療のランダム化比較試験を実施。1~2回の便移植をするだけで90%以上が完治し、治療効果が高かったことが権威ある医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で報告されたのだ。

「年間50万人が偽膜性腸炎を発症し、3万人が死亡している米国では、すでに偽膜性腸炎に対する便移植が標準治療になっています。日本では潰瘍性大腸炎の患者さんに対して臨床試験が行われている段階ですが、効果が見られれば保険適応される日も来るでしょう」

 日本で便移植に使われるのは、健康な人の便100グラムで、提供者は配偶者か2親等以内の家族に限定している。感染症の有無や有害な病原菌がいないかどうかをチェックしたあと便を生理食塩水に溶かして撹拌し、フィルターで濾過してから大腸内視鏡を使って腸内に注入する。

「米国では、厳しい基準を満たしたドナーの便から培養した腸内細菌を、カプセルや錠剤に加工して患者が内服する試みも行われています」

 また、腸疾患だけでなく、糖尿病パーキンソン病、慢性疲労症候群、不眠症などの治療でも便移植の研究が始まっているという。
 潰瘍性大腸炎に悩む安倍首相もこっそり注目しているかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景