臨床試験で症状改善 「プラズマローゲン」が認知症患者を救う

公開日: 更新日:

「プラズマローゲンは、細胞内にある小器官・ペルオキシソームという生産工場で作られています。認知症の患者さんは、この工場の稼働率が落ちたか、完全に閉鎖してしまった状態にあると考えられます。95年には『亡くなったアルツハイマー型認知症の患者の脳を解剖すると、海馬と前頭葉の両方において、リン脂質のうちでも特にプラズマローゲンの量のみが減少している』という論文が発表されています。07年にも『アルツハイマー型認知症の人の血清中でプラズマローゲンが減っている』という報告がありました」

■大量抽出技術の開発と実用化成功

 そこで、藤野氏や、共同で研究を進めてきたレオロジー機能食品研究所所長の馬渡志郎氏、九州大准教授の片渕俊彦氏らは、外からプラズマローゲンを補給すれば認知症の改善や予防に有効ではないかと考えた。これまでの“異常なタンパク質を除去する”方向とは逆の発想である。

「それまで、純粋なプラズマローゲンを生体から大量に取り出すことが難しかったため、臨床研究は全く行うことができませんでした。しかしわれわれは、当初は鶏肉、現在はホタテ貝からより有用な質の高いプラズマローゲンを大量抽出する技術の開発と実用化に成功し、規模臨床的研究ができるようになったのです」(藤野武彦氏)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋