臨床試験で症状改善 「プラズマローゲン」が認知症患者を救う

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「プラズマローゲンは、細胞内にある小器官・ペルオキシソームという生産工場で作られています。認知症の患者さんは、この工場の稼働率が落ちたか、完全に閉鎖してしまった状態にあると考えられます。95年には『亡くなったアルツハイマー型認知症の患者の脳を解剖すると、海馬と前頭葉の両方において、リン脂質のうちでも特にプラズマローゲンの量のみが減少している』という論文が発表されています。07年にも『アルツハイマー型認知症の人の血清中でプラズマローゲンが減っている』という報告がありました」

■大量抽出技術の開発と実用化成功

 そこで、藤野氏や、共同で研究を進めてきたレオロジー機能食品研究所所長の馬渡志郎氏、九州大准教授の片渕俊彦氏らは、外からプラズマローゲンを補給すれば認知症の改善や予防に有効ではないかと考えた。これまでの“異常なタンパク質を除去する”方向とは逆の発想である。

「それまで、純粋なプラズマローゲンを生体から大量に取り出すことが難しかったため、臨床研究は全く行うことができませんでした。しかしわれわれは、当初は鶏肉、現在はホタテ貝からより有用な質の高いプラズマローゲンを大量抽出する技術の開発と実用化に成功し、規模臨床的研究ができるようになったのです」(藤野武彦氏)

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