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青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

女性医師の治療を受けた方が長生きする

公開日: 更新日:

 男性医師と女性医師では、医療現場での行動に差異があることが過去に報告されています。一般に、男性医師に比べて、女性医師のほうが、医療現場における適切な診断と治療を補助する行動指針である臨床ガイドラインを順守し、予防的なケアを積極的に行い、患者中心のコミュニケーションを行う傾向がある、といわれているようです。

 もちろん、これらは海外の研究なので、日本人医師に妥当するか不明な部分もありますが、興味深い研究結果ではあります。そんななか、米国医師会誌の内科専門誌電子版に12月19日付で、男性医師による治療と、女性医師による治療を比較検討した論文が掲載されました。

 この研究は、米国において、2011~14年の間に入院した65歳以上の高齢者、150万件以上のデータを対象に、男性医師による治療と女性医師による治療を比較し、入院から30日以内の死亡と、退院から30日以内の再入院について検討したものです。結果に影響を与えうる、患者の性別、年齢、主病名や、治療を行う医師の年齢、出身大学などが考慮され、統計学的に補正されています。

 その結果、入院から30日以内の死亡は、男性医師に比べて、女性医師のほうが0.43%少ないという結果でした。また退院から30日以内の再入院も、男性医師に比べて、女性医師で0.55%少ないという結果でした。ごくわずかですが、死亡、再入院ともに統計的にも有意に少ないことが示されています。

 これは米国の研究なので、日本の医療現場についても同様のことが言えるというわけではありませんが、男性医師と女性医師の行動の違いが、この差を生み出した可能性が示されています。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

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