美容ジャーナリスト山崎多賀子さん 乳がん闘病記が自分の心のリハビリに

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 私は、治療中でも体調がいい時は普段通りに外出すると決めていました。髪の毛だけでなく、まつげも眉毛もない“黒い顔”で外を歩けませんから、メークして、ウィッグを着けて仕事に行ったら、私ががんだと知らない知人が「最近、きれいになった?」と言ったんです。この時「よっしゃ!」と、心の中でガッツポーズしました。

 がん患者は死に対する不安がある中で、ある人は仕事を、ある人は人間関係を失うこともあります。治療費や生活費など金銭面での不安もあります。それらの原因の多くは、「がんになった」という、ただそれだけの事実です。私もがんを告知された時、鬼ごっこでタッチされて、大きな川の向こうにいきなり連れていかれた気がしました。やりがいも楽しみも奪われて、薄暗い場所で、一生、生活しなければいけない……と絶望感に見舞われたんです。でも、イキイキと生活する乳がんの先輩の話を聞いているうちに、「それは違うぞ。がん患者でも前向きに生きることができる!」と思い直しました。

 そのために必要だったのが、ウィッグでありメークです。当時の私は、それらを世間の目から自分を守る「鎧」のように感じました。何も装わずに丸腰で戦場(社会)に出ていくのは不安だけれど、鎧を着けていれば自分らしく堂々とできる。そんな気分です。

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