若くして心臓突然死を招く「マルファン症候群」に注意
背が高くスラッとして痩せている。手、足、指が長い。物が二重に見えたり、強い近視がある――。こうした身体的特徴や症状のある人が、若くして大動脈解離や大動脈破裂を発症し、突然死を起こすケースがあります。「マルファン症候群」と呼ばれる病気です。
19世紀の終わりにマルファンというフランスの医師が初めて報告した遺伝性疾患で、遺伝子の異常によって全身の結合組織が脆弱になります。そのため、骨格、目、大動脈などにさまざまな症状が表れます。
骨格では、高身長、長い手足、鳩胸や漏斗胸といった外見的な所見が見られ、親指を内側(手のひら側)に折り曲げたときに親指の第1関節くらいまでが手の外側に出てしまうほど関節が緩い患者さんもいます。
眼科所見では、目の水晶体が元の位置からずれてしまう水晶体亜脱臼や強い近視が表れます。
さらに、大動脈を構成する壁の構造が粗造なため、大動脈弁閉鎖不全で心不全を起こしたり、大動脈にできた瘤が破裂する大動脈瘤破裂や、大動脈が突然裂けてしまう大動脈解離を発症するリスクが高くなり、突然死するケースもあるのです。