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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

34年目の再発も…区切りの5年超も経過観察が必要ながん

公開日: 更新日:

 これに対して、年数を重ねるごとに、生存率が低下しやすいがんがあります。その一つが乳がんです。

 乳がんの5年生存率は92.9%ですが、10年生存率は80.4%と、10ポイント超も低下しています。乳がんは発症から10年くらいまで、生存率がほぼ直線的に低下するがんなのです。10年を超えると、低下が比較的落ち着くとはいえ、オリビアのようなケースは、決して珍しくありません。これまで経験した患者さんの中には、治療から34年後に原発部位から再発したことがありました。

 男性の前立腺がんや肝臓がんも、乳がんと同じタイプ。生存率が発症からの年数が増えるにつれて、再発が増え、生存率が低下します。このようながんは、5年を超えても経過観察を続けることがとても大切で、私は「一生、経過観察を続けてください」とお話ししています。

 がん細胞は、健康なときから毎日およそ5000個も発生しては消えていくと考えられています。それを免疫細胞が退治。5000勝0敗の闘いを繰り広げているのですが、あるときの1敗でがん細胞が増殖し、10~30年かけて検診で見つかるようながんになるのです。

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