著者のコラム一覧
高橋三千綱

1948年1月5日、大阪府豊中市生まれ。サンフランシスコ州立大学英語学科、早稲田大学英文科中退。元東京スポーツ記者。74年、「退屈しのぎ」で群像新人文学賞、78年、「九月の空」で芥川賞受賞。近著に「さすらいの皇帝ペンギン」「ありがとう肝硬変、よろしく糖尿病」「がんを忘れたら、『余命』が延びました!」がある。

「がん告知されたら仕方ない。堂々と泣いてみるのもいい」

公開日: 更新日:

 すでに遺言状を書いて家族に渡してある。周囲には、自分がその辺で倒れても、救急車を呼ぶなと伝えてある。

 死ぬなら肝臓がんがいいだろう。2009年に肝硬変になっているのだから、肝臓がんなら納得もできるし、肝臓がんは胃がん肺がんなどと比べても痛みが少ないらしい。

 人間の細胞にはアポトーシスというものがある。あらかじめ細胞内にプログラムされた細胞の自殺のことだ。生命とは自然の中で育ち、それにそぐわなくなったものは淘汰されていく。細胞内には、人間が生まれてきた時点ですでに自殺するプログラミングが組み込まれているというのだからおもしろい。「自殺細胞」といわれるのはある種の暗示であり、自由が満喫できればアポトーシスは働かなくて済む。逆に満喫できなくなったら呼んでくれよ、と彼らが言っているような気がする。

 小説「さすらいの皇帝ペンギン」でも書いたが、ベテランの登山隊長がヒマラヤのマナスルに登る際、地元のシェルパから「登ったら、いくら儲かるんだ?」と聞かれるシーンがある。山に登ること自体にさほどの目的があるわけではなく、現代人は、健康のためや生きがい、生活の楽しみのために山に登る。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    巨人・岡本和真がビビる「やっぱりあと1年待ってくれ」…最終盤に調子を上げてきたワケ

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  5. 5

    ドラフト外入団の憂き目に半ば不貞腐れていたボクを最初に見出してくれたのは山本浩二さんだった

  1. 6

    高市早苗氏の「外国人が鹿暴行」発言が大炎上! 排外主義煽るトンデモ主張に野党からも批判噴出

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆の「メジャー契約金」は何億円? DeNA戦で市場価値上げる“34戦18号”

  3. 8

    概算金が前年比で3~7割高の見通しなのに…収入増のコメ生産者が喜べない事情

  4. 9

    権田修一が森保J復帰へ…神戸サポもビックリ仰天“まさかの移籍劇”の舞台裏

  5. 10

    マツコはやっぱり怒り心頭だった…“金銭トラブル”前事務所社長を「10億円提訴」報道