貴ノ岩は50回も殴られたというが…頭部を強打で起こる“危ない異変”

公開日: 更新日:

「頭を強打した時に脳と硬膜の間の細い静脈が切れてジワジワと出血し、徐々に硬膜下腔に血がたまって血腫ができていきます。そのため、時間がたってから、物忘れや気力の低下が表れたり、頭痛や吐き気などの症状が出てくるのです。高齢者に多く見られ、きっかけになった頭部外傷を忘れてしまっているケースも多い。ただ、血腫が増大すれば脳はどんどん圧迫されます。頭を打った時点では何ともないからと油断していると、命に関わる危険もあります」

 ほとんどの場合、局部麻酔でカテーテル手術を行って血種を除去すればすぐに治るという。頭を打ったときはしばらく注意を続け、何かおかしいなと感じたらすぐに脳神経外科を受診したい。

 持続的な頭部への衝撃が、「慢性外傷性脳症」(CTE)を引き起こす場合もある。ボクシングアメリカンフットボールの選手など、脳震盪のような軽度の脳部外傷を繰り返したことで発症する疾患で、数年から数十年がたってから精神障害、認知機能の低下、パーキンソン病のような症状が表れる。

「頭を激しく揺さぶられたり、強い衝撃を受けると、脳は頭蓋骨の内壁にぶつかって脳震盪を起こします。すると、脳の神経細胞が傷ついて炎症を起こしたり、血流が悪化するなどして、脳細胞が傷つけられたり、破壊されてしまうのです」

 こうした研究報告を受け米国のサッカー協会は「10歳以下のヘディング禁止令」を出している。首の筋肉が未発達な子供は、頭部への衝撃に対してより注意が必要なのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々