【双子研究】一卵性双生児でも環境で20%の個人差が出る

公開日: 更新日:

 行動遺伝学では、家族のメンバーを類似させるような環境を「共有環境」、家族一人一人を異ならせる環境を「非共有環境」と呼んでいる。そして、病気の発症を含め、人は共有環境の影響はほとんどなく、個人差の多くは非共有環境から成り立っているという。

「例外的に共有環境の影響があるのは『知能』や『学力』。病気であれば原因となる物質が家庭に置いてあるアルコールやニコチンなどの『依存症』です。インフルエンザや水虫などの感染症も家族からうつることもありますが、しかし、そのようなことは行動遺伝学全体からみたら例外なのです」

 他人と環境条件が同じでも、ウイルスに感染しにくいかどうかにも遺伝の影響がある。糖尿病になりやすい食事内容を好むのも、環境ではなく遺伝の影響という。

 遺伝子の一つ一つを調べる分子遺伝学と、双子研究による行動遺伝学のビッグデータが集積されれば、将来、AIの活用でかなりの病気が予防できるかもしれない。

▽東京都出身。1981年慶応義塾大学文学部卒後、同大大学院社会学研究科博士課程修了。同大文学部講師、准教授を経て2001年から現職。専門は行動遺伝学、教育心理学。〈所属学会〉日本双生児研究学会、日本教育心理学会、日本発達心理学会など。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?