著者のコラム一覧
吉田潮ライター、イラストレーター

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

<8>わずか半年で介護認定「要支援1」から「要介護2」へ

公開日: 更新日:

 私の夫は年1回、元日だけ私の父に会う。夫いわく、「最初はコワモテだったけど、ここのところ表情がどんどんまるくなってきた」そうだ。父は俳優の石橋蓮司に似ている。顔も頭髪も。テレビで蓮司を見るたびに、親近感を覚えていた。ただし、蓮司はセクシー、父はボケジーである。

 認知症で表情が柔らかくなると聞いたことがある。「まあちゃん、(私と姉は20年前から父をそう呼んでいる)笑って」と言うと、満面の笑みを見せるようになった。パブロフの犬化、成功。これには私の腹黒い魂胆がある。

 今後、介護施設に入り、スタッフさんから愛されるには笑顔と感謝の気持ちが大切だからだ。さらに「ごめんね」と「ありがとう」をちゃんと口にすること。父の施設入居を想定し、笑顔と謝意の訓練をしておこうとひそかに考えていたわけだ。

 しかしだ、昭和初期生まれの男どもは至れり尽くせりの妻に「ごめんね」「ありがとう」を一切言わない。突然言おうものなら妻たちは天変地異とばかりに驚くのだ。

 一度父が粗相した時「ごめんね」と言ったようで、すっかりほだされた母は、「生まれて初めてこの人の口から『ごめんね』を聞いたの」。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁