<12>がん細胞はどのように浸潤・転移するのか?

公開日: 更新日:

 しかもE―カドヘリンは細胞増殖を抑制する働きもある。そのためここに異常が生じるとがん細胞の増殖力がアップする。

 また、上皮細胞の下の方には「基底膜」と「間質」がある。基底膜はコラーゲンなどの線維からなる丈夫な膜で、間質はコラーゲンなどの線維と線維芽細胞、リンパ管、血管などからできている。基底膜と間質を合わせて細胞外マトリックスと呼ぶが、がん細胞はこれも超えていかなければならない。

「がん細胞はメタロプロテアーゼという酵素を放出します。この酵素は上皮細胞の結合を解体させ、細胞外マトリックスを分解する働きがあります」(一石教授)

 こうして血管やリンパ管にたどり着いたがん細胞はその表面にとりつき、その基底膜を分解する。その内側の内皮細胞もメタロプロテアーゼによって分解され、血液の中に入ることができるのだ。

 この脈管系の旅はがん細胞にとって命懸け。成功するのはがん細胞1万個のうちの1個ともいわれている。

 運よくがん細胞にすみやすい場所にたどり着くと、細胞に吸着するタンパク質を分泌してそこに定着。新たなすみかをつくるため浸潤を始める。やがて新天地のがん細胞は急速に成長するために、必要な栄養や酸素を手にするために新生血管を張り巡らせることになる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か