著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

アルコール基準値を厳格化すると飲酒運転は減るのか?

公開日: 更新日:

 お酒を少しでも飲めば車を運転してはいけません。誰でも分かっている常識ですが、実際には今も飲酒運転と、それに伴う事故は後を絶ちません。

 自分が酔っているかどうかの判断は、とても主観的なものですから、「少し飲んだけれど頭ははっきりしているから大丈夫」と、運転してしまうことが多いのが実際なのかも知れません。

 飲酒運転(正確にはそのうちの酒気帯び運転)であるかどうかは、呼気や血液のアルコール濃度を測定して判断されます。

 しかし、その基準は非常に厳しいことが知られています。欧米では血液1ミリリットル中のアルコールが、0・5~0・8ミリグラム以上というのが基準となっていることが多い。

 ところが、これが日本では0・3ミリグラム以上となっています。お酒を少し飲んで一眠りしても、この基準は上回ることがあっておかしくはないのです。それでは、アルコールの基準値をこのように厳しくすると、飲酒運転をより減らす効果はあるのでしょうか? 

 昨年の「ランセット」という医学誌に、それについての論文が掲載されています。スコットランドでは2014年に、飲酒運転の基準値がそれまでより厳格化されたのですが、その前後で比較しても、交通事故は減らなかったのです。

 飲酒運転は決して許してはならない犯罪ですが、基準を厳格化するだけでは、飲酒運転は減らないというのも、科学的事実ではあるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち