著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「白衣高血圧」の人は健康な人より心臓病のリスクが高い

公開日: 更新日:

 自宅など普段の生活の中で血圧を測ると高くないのに、自宅以外の健診会場や病院、診療所などで血圧を測ると高くなってしまう人がいます。こうした人たちのことを、病院や診療所で医者の白衣を見ると血圧が上がってしまうということで、「白衣高血圧」と呼びます。国民健康栄養調査の血圧は、準備された会場で測定された血圧ですが、血圧が高い人の中には自宅の血圧は高くない白衣高血圧の人がかなり含まれていることになります。

 この白衣高血圧は、高血圧なのでしょうか、それとも高血圧ではないのでしょうか。

 従来の研究では、白衣高血圧の脳卒中や心不全のリスクは、正常血圧の人と変わらないことが示されていました。しかし、2018年にスペインから6万3910人を追跡した大規模研究の結果が発表され話題を呼んでいます。

 この研究では診療所などの外来では上の血圧が140以上か下の血圧が90以上にもかかわらず、昼間20分ごと、夜間30分ごとに測定した24時間の上の血圧が130未満かつ下が80未満の人を白衣高血圧と定義しています。この白衣高血圧のグループのうち血圧の薬を利用していない人では、外来血圧、24時間血圧ともに正常なグループと比べて、1・79倍死亡リスクが高いことが示されました。心臓疾患による死亡リスクも1・96倍と増加しています。この研究結果からすると、自宅での血圧が正常だからといって大丈夫とはいえないという結果です。今後は24時間の血圧測定を行って、その値をもとに高血圧かどうかを判断するという時代がもうすぐ来るかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性