ストレスも脳にはいい 嫌な相手は「力」言葉で置き換える

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 サラリーマンはつらい稼業だ。決められたことをコツコツこなすだけが仕事ではない。同僚に足を引っ張られながら、上司の顔色をうかがい、部下をおだててやる気を引き出さなければならない。社外の人たちとの折衝にも気を使って、家に帰れば嫁のグチを聞かされる。それでもこんな生活は、脳にとてもいいらしい。

 自分の脳はどれぐらい弱っているのか――。それを知るための簡単なテストがある。まずは、これを解いてみよう。

①「猫」「電車」「桜」と覚える。
②100から7ずつ5回引いていく。
③「富士の山」を逆から言う。
④最初に覚えた3つの単語は?

 これは「物忘れ外来」で行われている「認知症スクリーニングテスト」を少し難しくしたもので、諏訪東京理科大教授の篠原菊紀氏(脳科学)が作成した。

 ①で覚えた単語を④で言うことができれば、あなたの脳はしっかりしている。

「途中で余計なことを挟みながらも最初の記憶が残っている人は、記憶や情報を一時的に保持するワーキングメモリーが衰えていないということです」(篠原菊紀氏)

 最初の言葉を思い出せなかった人も、諦める必要はない。ワーキングメモリーは鍛えられるのだ。

「最初のテストのように、3つ程度の作業を同時にこなすマルチタスクが効果的なトレーニングになります。実は会社員は、日常的にマルチタスクをこなしています。普段通り通常業務をこなしているときに、別件の進捗状況について報告するように上司に言われて、対応しようとしたタイミングで取引先から電話で問い合わせがあって……なんてことはよくあるでしょ? 会社にいるだけでワーキングメモリーは盛んに使われているのです」(篠原菊紀氏)

 ただし、適当に手を抜いてやっていては、トレーニングの効果が薄い。「より早く」「より丁寧に」などと、少しでも改善して成果が上がるように工夫するといいそうだ。

 サラリーマンにとって最も厄介な社内外の人間関係も脳のトレーニングになるという。

「脳には適度なストレスが必要です。ただし、負担がかかり過ぎると、ストレス物質のコルチゾールの分泌が増えます。これは副腎皮質から分泌されるホルモンで、その量が慢性的に多いと神経回路に悪さをする。大事なのは、ストレスをストレスにしないことです。人間関係では、相手の煩わしさを“力”に置き換えるといい。たとえば、細かいところまでネチネチと言ってくる相手に対しては『自分では気づけないところまで見えてしまう観察力が高い人だな』ととらえる。すぐにイライラするせっかちな相手なら、『期日に遅れないように注意を払ってくれるのだから、時間を管理する能力があるありがたい人』という具合。なぜあの人は……と原因を突き詰めるのではなく、解釈を変えるのです。こうした置き換えも脳にとってはトレーニングになります。ストレスを神が与えてくれた訓練と考えれば、会社員は、それを受けながら、お金までもらえるということになる。こう言ってはなんですが、これほど恵まれた状況はないのです」(篠原菊紀氏)

 一つ一つの仕事をきっちりこなし、嫌いな相手を力がある人だと受け止めることができるようになれば、脳はどんどん若返ることになるのだ。

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