見えてきた認知症のメカニズム 自然な睡眠が予防に重要な理由

公開日: 更新日:

 実際、実験用マウスでは覚醒時に比べ、睡眠中に脳間質液中のAβが大幅に減ること、マウスを寝かせないとAβが凝集してできる老人斑が多数出現したことなどが報告されている。

 睡眠は脳内の脳脊髄液と間質液の流れを改善して神経細胞外に蓄積するAβを流れやすくするなど、脳内老廃物の排出を後押しするという報告もある。

「アストロサイトと呼ばれるグリア細胞の一種は、脳内の血管に張り付いて、血管から栄養を神経細胞に供給する一方で有害物質の侵入をブロックするなどの働きがあります。この細胞は睡眠中に一斉に縮小し、その結果、神経細胞外のスペースが広がり、Aβを排出しやすくしている、と提唱する海外の研究グループもあります」

■40ヘルツの脳波に注目

 ミクログリアという別の種類のグリア細胞もAβを貪食することで、重要な役割を担っている可能性があり、この仕組みに睡眠中の脳波が関係しているとの見方もある。キッカケは3年前の米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の報告だ。

「ADの人はレム睡眠の時に多くあらわれるγ波(ガンマ波=31ヘルツ~)と呼ばれる脳波のリズムが乱れることが知られています。睡眠時にγ波が減り、覚醒時にも減っていくのです。このことが、認知症の進行を余計に早めている可能性があります」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動