染色体異常を血液検査のみで判定「新型出生前診断」の課題

公開日: 更新日:

 彼女が受けたクリニックでは、金額は許可施設と変わらない約20万円。許可施設と違い、カウンセラーはおらず、ドクターからNIPTの説明を受けただけだったという。その後、採決した血液が検査会社に送られ、2週間ほどでA子さんのもとに結果が届いた。結果は陰性だったという。

 しかし、中には陽性になる妊婦もいる。そのときに妊婦が直面するのが、命の選別だ。お腹の子どもの染色体疾患が判明した場合、9割の妊婦が中絶を選択するといわれている。それは障がいを持って生まれてくるであろう子どもを親が育てていく環境や、知識を伝える環境が不足しているからではないだろうか。十分なカウンセリングが不足しているため、「大変だ!」というイメージがばかりが先行し、どうしても、中絶を選択してしまうのが今の日本の現状だ。医者側も陽性が出た場合は、暗に妊婦の中絶を前提にして話を進めている現状もあるようだ。

 国には、NIPTの在り方だけではなく、命の選別に対する考え方に対しても、検討していくことを望みたい。まずは十分なカウンセリングを妊婦が受けられる態勢を整えることが急務ではないか。

(取材・文/ジャーナリスト 中西美穂)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも