著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

専門誌で解析 親身な医師に診てもらうと患者は長生きする?

公開日: 更新日:

 高血圧糖尿病など慢性疾患の治療においては、長期間にわたり医療機関を受診し続けるケースも多いでしょう。医師と患者の関係も年単位で続くことはまれではありません。継続的な治療を円滑に進めるうえでも医療者との人間関係は軽視できない問題です。

 患者に対する医療者の共感度と、患者の健康状態の関連性を検討した研究論文が、家庭医療学専門誌の2019年7・8月号に掲載されました。

 この研究では、糖尿病と診断された英国在住の628人(平均61歳、男性60%)が対象となっています。被験者に対して、糖尿病の診断から12カ月の間にアンケート調査を実施し、医療者(医師、看護師)の患者に対する共感レベルが評価されました。共感レベルは3段階に分けられ、心臓病の発症リスク及び死亡のリスクが比較検討されています。なお、診断時の年齢や性別などの因子で統計的に補正して解析されました。

 解析の結果、死亡のリスクは、医療者の共感レベルが最も低かった患者と比較して、中等度の共感レベルでは51%有意なリスク低下が、最も高い共感レベルでは40%リスクが低下する傾向にありました。また、心臓病の発症リスクは統計学的な有意差はありませんでしたが、共感レベルが高い患者で3割ほどリスクが低下する傾向にありました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較