海外報告では全体の2割が…「認知症」を起こす薬リスト

公開日: 更新日:

特に危ないのは抗コリン薬

 海外の報告によると、認知症のような症状が見られる人のうち2割ほどは薬の影響とみられている。

 聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏が言う。

「複数の薬を併用することによって生じるこれらの症状は高齢者に多く、総称して薬剤性老年症候群と呼ばれます。厄介なのは、薬の影響がなくても、どの症状も高齢者に多く、薬剤性と気づきにくいこと。原因の薬も特定しにくいのですが、要注意の薬はあります。抗コリン薬とベンゾジアゼピン系の睡眠薬と抗不安薬です」

「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」には、こんな記述がある。「高齢の患者に使用すると、認知機能障害(せん妄・認知機能低下・認知症)をきたす可能性のある薬物には何があるか?」という問いに対して、3つの薬剤が挙げられる。そのうちの2つが抗コリン薬とベンゾジアゼピン系の睡眠薬と抗不安薬で、どちらもエビデンスの質は「高」、推奨度は「強」だ。

 特に危ないのは、抗コリン薬だという。医薬情報研究所エス・アイ・シーの医薬情報部門責任者で薬剤師の堀美智子氏が言う。

「抗コリン作用を持つ薬は、抗精神病薬(フェノチアジン系)や抗うつ薬(三環系)、パーキンソン病治療薬、過活動膀胱治療薬、胃薬、抗ヒスタミン薬など幅広く含まれています。一般に多剤併用の悪影響は6剤以上から表れるといわれますが、決してそうではありません。2つ、3つの薬剤で起こることも十分あります。それだけに、抗コリン作用のある薬は、とても多いので、要注意なのです」

 薬の影響で認知症のようになるのは怖いが、裏を返すと、薬を見直せば治る可能性があるということだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも