著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

梅宮辰夫さんは6度 がん抑制遺伝子の変異があると多発する

公開日: 更新日:

 昭和の名優・梅宮辰夫さんの命を奪ったのは、慢性腎不全でした。享年81。一連の報道によると、晩年はかなりつらい状態だったようです。

 6度のがんのうち、本格的な闘病生活は、2016年の十二指腸乳頭がんで、十二指腸と胆嚢を全摘したほか、膵臓と胃の一部も摘出。現場に復帰したものの、昨年9月には前立腺がん、今年1月には尿管がんの手術を受けています。

 糖尿病も患っていたそうで、糖尿病の合併症による腎機能低下や尿管がんなどの影響も重なり、1週間に3回の人工透析を余儀なくされたのでしょう。妻のクラウディアさん(75)が夫の容体の異変に気づき、救急車で病院に搬送すると、娘のアンナさん(47)が病院に到着するのを待っていたかのように息を引き取ったといいます。

■タンパク質摂取と運動で悪液質を断つ

 なぜ6つものがんが……。一般の方の注目点はそこでしょう。

 人は、両親から1つずつの遺伝子を受け継いでいます。がんとの関係で重要なのは、発症を抑えようとする「がん抑制遺伝子」です。生まれつき、どちらかの遺伝子が突然変異していて、生活の途中でもう一方にキズがつくと、“ブレーキ”が利かず、がんにかかりやすくなるのです。この遺伝子に異常があると、4割近くが腎臓がんを発症するといわれています。

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