抗インフル薬「アビガン」は新型コロナに本当に有効なのか

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスに有効な治療薬がないなか、政府が禁じ手を繰り出してきた。国内で有効性が証明されていないばかりか、類薬が海外で効果があるとはいえないと公表された薬を本来なすべき手続きである臨床試験もしないまま患者に投与が行われている。投与が有害であったり、副作用が出たら誰が責任を取るのか? 東京大学薬学部非常勤講師で「武蔵国分寺公園クリニック」(東京・国分寺)の名郷直樹院長に聞いた。

 本来、新しい薬を投与する場合は、患者に実験的研究である旨と治験実施計画書であるプロトコル(治験の目的、デザイン、行う根拠、統計学的考察、治験を行う組織、方法)を説明し、患者の同意を取ったうえで実施する。それも、新薬であればまずは健常者群に投与して薬の安全性を確かめたうえで、患者群に投与して有効性と副作用を調べる。その際、患者群をくじ引きで均質な2群に分けて、それぞれ本物の薬と偽薬を投与する。そうすることで、薬のみの有効性や副作用を分析する。これが常道だ。

 いわゆるランダム化比較試験だが、今回、非常事態という名の下、これらの手続きをすっ飛ばして患者への投与が行われているという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?