ワクチンは効果ありそうだが…集団免疫は獲得できるのか?

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 新型コロナウイルス収束に向けて、世界中がワクチン接種に躍起になっている。

 その狙いは新型コロナウイルス感染症による重症者数を減らし、集団免疫を完成させて蔓延の防止を図ることにある。

 集団免疫とは、特定の集団のなかで感染症にかかるか、ワクチンを打って、多くの人が免疫を獲得し、それにより集団全体が感染から守られるようになる現象を指す。

 集団免疫を獲得するにはその集団内にどの程度の割合の免疫保有者(集団免疫閾値)が存在すればいいのか。

「昨年3月には人口の6割が感染すれば流行が収束するといわれました。感染疫学の本場である英国の疫学の教授がそう主張したからです。英国などは、この主張に基づいて積極的な感染対策を打ち出しませんでした。その結果、感染大国になったのです」(弘邦医院・林雅之院長)

 過ちの原因は「何も対策をしなければ感染者は右肩上がりに増えて人口の6割以上が感染する」と考えたことだ。

 しかし、感染が深刻といわれた中国・武漢であれ、横浜に寄港したダイヤモンド・プリンセス号であれ、感染者がその集団の2割を超えることはなかった。感染が広がるにつれ、免疫力の強い人が残り、感染効率が落ちるうえ、多くの人が予防策を取ったからだ。そのため、いまでは集団免疫閾値の計算は、基本再生産数(1人の感染者が周りの免疫を持たない人に平均何人にうつすかを示す数字)ではなく、実効再生産数(すでに感染が広がっている状況下で1人の感染者が平均何人にうつすかを示す数字)で計算する方がいいとされている。結果、集団免疫閾値は、状況により、その数値はすぐに変化するため一定にならないものの、総人口の2割程度でもいいのではないか、との意見がある。

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