著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

看取るまで家族はずっと患者の側についていなくてはダメ?

公開日: 更新日:

 あるケースを紹介しましょう。元警備会社勤務の、直腸がんを患う57歳の男性の患者さんです。

 病院から余命数カ月と宣告されたのを機に、在宅療養に切り替えました。両親やお兄さんはすでに死別。いとこはいるけど、頼らずに一人で人生の締めくくりを迎えようとされていました。

 不思議な魅力がある方で、30年来通っていたスナックへ在宅医療スタッフと一緒に行ってカラオケを楽しんだり、春には桜の名所に在宅医療スタッフが車イスを押してお花見に行ったり。そんな時は、久しぶりの外出だからと洋服を通販で購入し、「おニューなんだ」とうれしそうに見せてくれたりもしました。

 最後の1~2カ月になると訪問診療は2日に1回、訪問看護は毎日介入。旅立ちの時が近づいてくると、1日2回入ることもありました。亡くなる1週間前には、こちらの勧めもありいとこに連絡し再会。退院してからの1年2カ月、思い残すことなく自宅で過ごされました。

 このケースで伝えたいのは、「家族が同居していなくても、その人らしい最期を自宅で迎えられる」ということ。そのような体制にもっていくのが私たち在宅医療のスタッフなのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???