著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

アトピー性皮膚炎の治療は新しい選択肢が増えてきている

公開日: 更新日:

「アトピー性皮膚炎」は、皮膚のかゆみや湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚炎です。皮膚のバリアー機能が弱い体質の人がなりやすく、小児に多く、年齢が上がるにつれて有病率は下がりますが、成人型アトピー性皮膚炎も知られています。

 原因は断定的ではないものの、遺伝的な要因がわかっています。成人で発症するのは主にストレスやホルモンバランスの変化が一因といわれ、外部からの刺激に対してアレルギー反応を起こしやすくなることで発症するとされています。成人での発症を防ぐためにはストレスをためない、増悪要因を減らすために部屋を清潔に保つ、栄養バランスを整える、保湿を心掛けて皮膚のバリアー機能を高めるといった生活の工夫が必要です。

 アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイドや免疫抑制剤、保湿剤といった塗り薬を中心に行われます。さらに近年は炎症反応を抑える新しいタイプの薬も使われるようになってきました。たとえば、炎症の原因となっているサイトカインの一種であるインターロイキン4や13を抑える注射薬の「デュピクセント」は抗体製剤(バイオ製剤)に属するもので、投与の条件を満たした患者さんに使われます。

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