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尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

「梅毒」がシューベルトを歴史的な有名作曲家に変えた?

公開日: 更新日:

 シューベルトは叶わぬ恋に身を焦がしつつも、それが成就しない不満を他の女性との情事で処理したといわれています。梅毒に冒されたのはそのせいかもしれません。

 いずれにせよ、シューベルトは25歳の1822年の年末か、1823年の初頭に梅毒の診断を受けたと考えられています。1823年の2月にシューベルトから音楽学者へ宛てた手紙が残されています。

「またしてもこのようなお手紙を差し上げてご迷惑をおかけしなければならない失礼をお許しください。というのも、健康状態が未だ私を家から出すことを許さないのです」

 このときは「未完成」交響曲を作曲中だったと言われています。その後、病状は一進一退を繰り返しながら徐々に悪化していきます。そんな中、シューベルトは「わが祈りの声に耳を傾け給え」という曲や、弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」などを作っていきます。やがて、当時は最先端治療だった水銀の集中的な塗布治療が施されます。その結果、1828年11月19日に亡くなるのです。

 もし、シューベルトが恋を成就して早く結婚していれば、あるいは梅毒を患わなかったでしょうし、長生きできたかもしれません。むろん、それでは私たちが知るシューベルトの名作は生まれなかったかもしれません。ひとりの男の人生としてどちらが幸せだったのでしょうか。

 いずれにせよ、凡人である性感染症専門医の私からすれば、結婚は早くした方が感染リスクを抑えられるのに、と思うのです。

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