著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

riceボーカル櫻井有紀さんが喉頭がんの発症告白 早期なら放射線30回で完治

公開日: 更新日:

 異常に気づいたら、耳鼻科へ。まずファイバースコープを鼻から挿入して、「エー」などと発声したり、頬をふくらませたりしながら喉全体をチェックします。がんが疑われる病変があるときは、その一部を採取。病理検査を行います。櫻井さんは全身麻酔でしたが、病院によっては外来で局所麻酔で行うことも可能です。

 転移がなければ、治療は放射線でほぼ完治します。1回数分の照射で30回ほど。外来で照射することができるため、治療と仕事の両立もしやすいでしょう。照射部位は炎症を起こし、痛みがありますが、鎮痛剤や軟膏でよくなります。

 ほかにレーザー治療、抗がん剤を組み合わせた化学放射線、手術がありますが、手術は放射線後に再発したり、化学放射線でも治療が困難なケースなど最終手段。声帯の切除は生命に影響を及ぼしませんが、生活の質を大きく左右します。声を失ったつんく♂さんのがん告白は、世間を驚かせました。

 たばこの影響というと肺がんをイメージするかもしれませんが、喫煙者のがん死亡リスクは喉頭がんが最大。たばこを吸わない人を1とすると、喉頭がんは32.5倍。肺がんは4.5倍ですからその差は歴然。とにかくたばこの影響が強く、喉頭がんでたばこを吸わない人をほとんど見たことがありません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」