著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

体格と肺がんのリスク 身長170センチなら66キロで2割、55キロで5割増

公開日: 更新日:

 痩せている人は、肺がんのリスクが高いことは海外ではすでに認められていました。今回の調査は、日本でも追認された格好です。そもそも日本人、特に男性では、がん全体で肥満より痩せ(BMI18.5未満)ている人で、がん死亡率が高くなることが示唆されていました。

 肝臓がん大腸がん、閉経後の乳がんは肥満がリスクになります。これらを踏まえても、すべてのがんで痩せがリスクになっているということは、すべての中で最も死亡率の高い肺がんの影響が「痩せ→すべてのがん」に寄与した可能性があるでしょう。

 その逆で、たばこを吸わない人は、痩せていてもがんの死亡リスクは高くならないことが報告されています。

 がんと生活習慣の関係は少しずつ明らかになる中、「痩せ」は今後、肺がんのリスクに加わるかもしれません。

 その点に着目すると、男性の喫煙者で痩せている人は、すぐにたばこをやめるべきでしょう。

 たとえば身長170センチの場合、BMI19の体重は55キロほど、同22.9は66キロほどです。メタボ化が進むとはいえ、日本では当てはまる男性が少なくないでしょう。「え!」と思った喫煙者の方は、禁煙にチャレンジするといいと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波