著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がん患者ではコロナワクチンの副反応でPET検査に異常が出ることも

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 ただし、抗がん剤治療中などで免疫力の低下が強いと、抗体価が十分に上がらない可能性もあります。

 ブリッジスさんのように治療中に感染が見つかると、コロナの治療が優先。コロナを治してからがん治療を再開することになります。このときにがんが悪化する恐れもあるため、コロナの発症予防はとても重要。だからこそ、がん患者の人はワクチン接種が大切なのです。

 がん患者のワクチン接種では、発熱や痛み、倦怠感とは異なる特徴的な副反応が見られることがあり、要注意。それが、わきの下のリンパ節の腫れ(腋窩リンパ節腫大)です。これがあることで転移をチェックするPET検査を受けるときは、気をつけてほしい。

 PET検査は、がんに集まる性質の放射性物質を注射して行います。それで、わきの下のリンパ節に多数の陽性所見が見つかれば、「遠隔転移→治療困難」と判断されるかもしれません。

 実はコロナワクチンを接種すると、接種した側のリンパ節が腫れ、そのタイミングでPET検査を受けると、陽性になることがあります。ワクチンの副反応であって、腫瘍ではありませんから、それは誤診で、ワクチン接種後にPET検査を受けた人でそんなケースが相次いでいるのです。

 ですから、腋窩リンパ節の検査は、1回目の接種前か、2回目から4~6週間後がよいとされています。

 乳がん検診を受ける場合も、同様の注意が必要です。ワクチンを接種した人は、そのことを必ず主治医に伝えてください。

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