著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

カナダのM・パロ選手はスノボで金メダル 悪性リンパ腫は完治の可能性が高い

公開日: 更新日:

 ホジキンリンパ腫は、隣り合ったリンパ節へと広がりやすいのが特徴です。非ホジキンリンパ腫は不連続に広がるため、全身治療の抗がん剤が主体ですが、ホジキンリンパ腫は連続的に広がるため局所治療としての放射線も効果的で、放射線も抗がん剤も予定通りの治療を完遂できれば治る可能性が高い。

 パロ選手は抗がん剤を選択したそうです。抗がん剤は2~3週間を1クールとして、複数を組み合わせて使用。副作用が強くなければ、4~8クール繰り返すことが重要で、途中でリンパ腫が縮小しても、再発リスクを防ぐため決定したクールを完遂することが大切です。パロ選手は完遂まで半年を要したといいます。

 パロ選手が発症したのは23歳。その年齢だと、小児に準じた治療が行われたかもしれません。小児タイプのリンパ腫の治癒率は9割に上ります。パロ選手が雪上に戻り、ナンバーワンになったことが、この病気が治りやすいことを物語っているでしょう。

 日本に多い非ホジキンリンパ腫は、さらに細かく分類され、70代に多く見られます。病理診断でどのタイプかを見極め、治療をしっかりと吟味することが重要です。

 池江璃花子さんが克服した白血病もそうで、リンパ腫も治療中は抗がん剤のダメージに苦しめられますが、この2つは完治の可能性が高い。早期に発見して治療をしっかり受ければ、その後の人生を楽しむことができるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」