著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

「胃がん」になりやすい血液型は? 実は密接な関係がある

公開日: 更新日:

 血液型は感染症だけでなく、一部のがんと密接に関係しています。とくに胃がんとの関係が、1950年代初頭から知られていました。イギリスで、3600人の胃がん患者の血液型を調べたところ、A型がかかりやすく、O型がかかりにくいことが判明したのです。

 この結果を受けて、ヨーロッパをはじめ世界中で、同様の調査研究が行われました。日本でも、1953年から55年にかけて、当時の厚生省のがん疫学研究班が全国調査を実施しており、やはりA型が胃がんにかかりやすいという結果を得ています。

 しかし各国で行われた調査研究では、結果が必ずしも一致せず、中には真逆の結果になることもありました。そのため20世紀末の時点では、胃がんと血液型は無関係か、あったとしてもA型のリスクがわずかに高い程度、と結論づけられたのです。

 結果が一致しなかったのは、研究規模が小さかった(対象者が数百人から数千人)ためだと考えられています。人数が少ないと、どうしても統計的な誤差が出てしまいます。

 さらに日本では、1971年に能見正比古氏の著書「血液型でわかる相性 伸ばす相手、こわす相手」が大ヒットし、血液型性格診断がアッという間に定着してしまいました。そのため、血液型と病気の真面目な研究が完全にタブー視されるようになり、今日に至っています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり