著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

非O型はエコノミークラス症候群のリスクが2倍 25年間のデータで判明

公開日: 更新日:

「肺塞栓症(エコノミークラス症候群)」は、足の付け根の静脈などにできた深部静脈血栓がちぎれて、肺動脈に流れ込み、血管を塞ぐことによって生じます。突然息苦しくなり、強い胸痛に襲われて、最悪の場合は命を落とします。

 O型の人は、非O型と比べてフォン・ヴィレブランド因子が薄いため、血液凝固の第Ⅷ因子が少なく、深部静脈血栓症のリスクが低いことを、先週までに説明してきました。肺塞栓症についても、当然O型のリスクが低く、非O型が高いことが予想されます。

 2011年にアメリカの研究グループが発表した論文を見てみましょう。全米の医療従事者(女性7万7000人、男性3万人)の健康状態を、10年間にわたって追跡調査したものです。この間に499人が肺塞栓症を発症しました。統計解析の結果、非O型は、O型と比べて1.46倍、肺塞栓症のリスクが高いことが示されました。

 2016年には、もっと大規模な研究がデンマークとスウェーデンの合同研究チームから発表されました。両国で1987年から2012年までに献血を行った人(延べ1360万人/年)の健康データを調査したところ、この間に917件の静脈血栓症(肺塞栓症を含む)があり、非O型のリスクは、深部静脈血栓症でO型の1.92倍、肺塞栓症で1.80倍でした。その他の研究も総合すると、非O型の肺塞栓症のリスクは、O型の1.5~2倍と見積もられます(深部静脈血栓症のリスクは約2倍)。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」