著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

糖尿病で使われるインスリンはなぜ注射でなければいけないのか

公開日: 更新日:

 今回から糖尿病の治療に用いられるクスリについてお話ししていきます。

 糖尿病は1型と2型に分けられ、どちらもインスリンの効果が減ってしまうことで血糖が増える=血糖値が上がる病気です。1型は膵臓(すいぞう)でインスリンが作られなくなるタイプで、治療には原則「インスリン」が必要となります。2型はインスリンの出が悪くなったり、インスリンが出ていてもその効きが悪くなるタイプで、治療にはインスリンだけではなく「経口糖尿病薬」と呼ばれるクスリが用いられます。

 2型はまれに若年で発症することもありますが、40歳を過ぎてから発症するケースがほとんどです。糖尿病のコントロールが不十分だと、高齢になって(あるいはそれ以前に)さまざまな合併症を引き起こすことがあるので、食事療法、運動療法といった生活習慣の改善、そして場合によってはクスリによる薬物療法でしっかりコントロールする必要があります。

 経口糖尿病薬には、膵臓にインスリンを作る力が残っていても出す力がないときに直接それを促すタイプ、インスリンの効きが悪くなっているときにそれを改善するタイプ、血液中のインスリンが分解されるのを防いでインスリンの効果を上げるタイプ、糖分の消化不良を起こすことで血液中に糖が吸収されにくくするタイプ、血液中の糖を尿と一緒に排出するタイプ、筋肉で糖を利用しやすくするタイプなど、実にさまざまなものがあります。2型になる原因は人それぞれなので、その人の糖尿病の特徴に合ったクスリが選択されます。複数種類の経口糖尿病薬が組み合わされるケースも多いです。

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