著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

ネイティブ・アメリカンの平均余命が劇的に短くなった理由

公開日: 更新日:

 コロナのパンデミック以降、アメリカ人の平均余命は3年も縮まりました。過去100年間で初めてです。それだけでも驚きなのに、さらに衝撃だったのは、アメリカの先住民族ネイティブ・アメリカンに限っては、6年半も短縮したことです。

 アメリカにヨーロッパ人が入植してから100年間に、殺されたネイティブ・アメリカンは実に5千600万人。残された多くは、「居住区」と呼ばれるエリアに強制移住させられました。居住区は現在、アメリカ本土とアラスカ、ハワイなどに合わせて約300カ所。全人口の2%に当たる500万人のネイティブアメリカンが、居住区を中心に生活しています。

 彼らがどんな環境で生活しているかは、長い間まったく知られていませんでした。しかしネット時代になり、過酷な現実が少しずつ明らかになっています。

 都市部から離れた孤立した地域で、水道もない場所もあり、多くが大気汚染や水質汚染などにさらされている。井戸水からヒ素やウラニウムが検出されたという報告もあるほどです。4人に1人が貧困という数字はアメリカのどの人種よりも多く、医療体制も貧困。病院まで何時間も運転していかなければならないのに、多くは車を持っていません。

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