著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

「脂質」を減らしてアンチエイジングは幻だった…科学的にエビデンスなし

公開日: 更新日:

 ところがその後、これには科学的なエビデンスがほとんどないことが指摘され、15年の改定で脂質の摂取基準は撤廃されました。いまでは、卵は「完全栄養食」と持ち上げられ、イカやタコや甲殻類の脂質は、むしろ血中コレステロールを下げる働きがあるとされています。またサバやイワシに豊富に含まれる不飽和脂肪酸には「血液サラサラ効果」があるといわれています。

 ほかにもオリーブ油やゴマ油は体に良いとか、数年前から亜麻仁油を取ると痩せるとか、ほんの数年前までは健康とアンチエイジングの敵と見なされていた脂質が、いまでは正義の味方であるかのように持ち上げられています。

 植物性油脂はいいが、動物性脂肪は健康に悪いという人もいます。植物性油脂は常温でサラサラですが、ラード(豚脂)やヘット(牛脂)は固体だから、というのです。どうやら、溶けにくい動物性脂肪が血管を詰まらせると言いたいようです。ラードは体温(35度前後)で溶けて液体になりますが、ヘットは40度以上にならないと溶けません。だからラードのほうが、まだヘットよりマシと思っている人もいます。もちろん、どちらも小腸で細かく分解されてしまうので、心配はいりません。

 いずれにしても「脂質を排除してアンチエイジング」というシナリオは、あっけなく破綻したのでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い