著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

「陽子線超小型装置」普及で広がる治療の可能性 江戸川病院で1号機導入へ

公開日: 更新日:

 そこで気になるのが、陽子線の治療効果でしょう。X線は体の表面付近で線量が最大化。その後は、減少しながら体の深部に進みます。体の表面やがんの後ろの正常細胞へのダメージも少なくありません。

■導入施設が増えれば保険適用になるがんの種類も増える

 一方、陽子線は、体表からある深さで線量が最大化する特徴があるため、照射する陽子線のエネルギー量や位置などを調節することで、がんの位置に合わせてエネルギーを最大化できます。その後は深部にほとんど達しないため、がんの手前や後ろなど正常組織への副作用をX線より大きく抑えられるのです。

 強力ゆえ、X線より照射回数が少なく、通院回数も少ない。現役世代は仕事と治療の両立をしやすくなります。

 陽子線治療は2016年に小児がんが保険適用されてから、一部の前立腺がんや手術不能の骨軟部腫瘍、手術不能の肝臓がん、手術不能の局所進行すい臓がんなどに広がっています。

 たとえば、小児がんをX線で治療すると、循環器や呼吸器、腎臓、生殖器などへの影響が問題になりますが、陽子線はそのダメージがほとんどありません。また、肝臓がんの中で、門脈という重要な血管に腫瘍があるタイプは、ほかの治療が困難ですが、陽子線は有望です。早期発見が難しいすい臓がんでは、臨床試験での2年生存率がX線を上回っています。

 導入施設が増えると、保険適用になるがんの種類も増えるでしょう。今後に期待です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に