著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

扇千景さんが他界 食道胃接合部がんはピロリ除菌とメタボで増加

公開日: 更新日:

 初代国交相や女性初の参院議長など要職を歴任された元国会議員・扇千景さんの訃報が報じられました。死因は、食道胃接合部がん。卒寿手前の89歳でした。

 食道と胃のつなぎ目は食道胃接合部と呼ばれます。その上下2センチの領域に発生した腫瘍が、食道胃接合部がんです。かつては、食道がんあるいは胃がんとして扱われましたが、いまはどちらとも独立した「食道胃接合部がん」として分類されています。

 消化管は、食道や胃のほか十二指腸、大腸、小腸などがあり、がんはどこでも生まれます。しかし、2つの臓器をまたいで発生するのは、食道と胃の境目だけ。それだけに国際的にも食道がんや胃がんとは分けて考えるのがセオリーです。

 実はこのがん、以前から比較的多く見つかっていた欧米に続き、国内でも患者数が増加傾向にあります。なぜかというと、胃酸の逆流が関係しています。

 ピロリ菌の感染率は元々、100%でした。それが冷蔵庫の普及や衛生面の改善、除菌治療の広がりで感染率が低下。80代で8割、60代でほぼ半数、50代で4割、20~30代は1割、そして10代は5%程度にまで減っています。

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