著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「補聴器」が寿命を延ばす? ランセットの姉妹誌で研究報告

公開日: 更新日:

 健康診断では必ず聴力検査を行います。これは聴力の低下がコミュニケーションに影響を与えることや、仕事の騒音などが聴力の低下に結び付くことがあるからです。

 耳の聞こえの悪くなる大きな原因は加齢です。ただ、多くの人は年齢を重ねて「最近、会話が聞き取りにくいな」と思っても、年のせいだから仕方がないと重要視はしないのではないでしょうか?

 しかし実は、聴力の低下は認知症うつ病などのリスクを高め、健康寿命を短くすることが科学的な研究で明らかになっています。つまり、聴力低下は治さないといけない病気なのです。

 現時点で聴力低下の最も一般的な治療は補聴器の使用です。適切に補聴器を使用することで聴力低下の悪影響を予防することができます。しかし多くの高齢者が、実際には補聴器を使用していないか、使っていても面倒でやめてしまうことが多いのが実際です。そもそも補聴器を使用することで聴力低下による寿命の短縮は予防できるのでしょうか?

 今年のランセットという一流の医学誌の姉妹誌に、それについての研究結果が報告されています。

 アメリカで9885人の一般住民の疫学データを解析したところ、聴力低下があると死亡リスクは40%高くなり、補聴器の継続的使用により、そのリスクは24%低下していました。

 補聴器は耳の聞こえを良くするだけではなく、健康寿命を延ばす効果もあるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る