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近藤一博東京慈恵会医科大教授

大阪大医学部卒。近著「疲労とはなにか」(講談社)

疲労の謎がここまで分かった(3)なぜ軽い運動が疲労を減少させるのか…酵素の産生を増やす

公開日: 更新日:

 どうすれば「生理的疲労」、疲れがとれるのでしょうか。

 この連載の1回目で「疲労感」と「疲労」とは、違うものだということに触れました。「疲労感」とは「休みたい」という気持ちです。過剰な活動によって体の組織に障害が生じている時、脳にその危険を知らせてくれるのが「疲労感」という感覚です。一方、疲労感の原因となる「疲労」は「細胞の停止や細胞死」です。

 意外かもしれませんが、「疲労感」を抑制する一つが、一般的に「ストレス」と呼ばれるものです。正しくは「ストレッサー」といいます。ストレッサー(ストレス源)が心身に作用すると、体内に副腎皮質ホルモンが分泌されます。と同時に交感神経が刺激され、アドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。

 アドレナリンやノルアドレナリンには興奮作用があります。疲労感の「休みたい」という感覚とは逆向きの感覚なので「疲労感」を抑制するのです。また、副腎皮質ホルモンには炎症を抑制する作用があります。

「疲労感」のもとは、脳が炎症性サイトカインにさらされることにあります。炎症性サイトカイン産生を抑制することで疲労感を弱めるのです。仕事のために一晩徹夜したけど意外に元気、といった経験をした人も多いでしょう。

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