著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

放置れされがちな皮膚疾患 特に高齢者ではQOLに大きな影響が

公開日: 更新日:

 そんな各現場で対応を重ねていく中で、患者さんの皮膚や足指などの状態が健全であることは、患者さんのQOL(生活の質)を向上させる上で重要な要素であると改めて実感できたのでした。

 20年ほど前、細菌の感染で炎症する蜂窩(ほうか)織炎で両足の皮膚移植を受けた93歳の患者さん。それ以来、一進一退を繰り返していました。

 むくみがひどく、物が皮膚に当たっただけでも剥離してしまうという非常にデリケートな皮膚の状態。あかが菌の繁殖につながるため、訪問看護師やデイサービスでは、せっけん洗浄を行うようにお願いしていました。

 ただ、免疫の弱い高齢者では、皮膚からの感染でも重症化し、入院による点滴が必要になることもあります。熱感がある時は、検査の結果をにらみながら抗生剤も処方するようにしていました。

 毎週こまめな洗浄と、皮膚科医による「抗生剤+ガーゼ+弾性包帯巻き直し」といった処置をコツコツと繰り返した結果、在宅医療を開始した1年前にはあれほど黒くただれていた皮膚が、次第に内出血の赤色を経た肌色に変わっていったのでした。

 療養される高齢の患者さんに対し、「年だから仕方ない」と放置しがちな皮膚疾患。しかし、患者さんの療養生活をより快適にするためにも、いま一度見直してみる必要があると考えるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも