著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

割ってはいけない薬が粉砕されているケースも…薬剤師にも責任がある

公開日: 更新日:

 先日、とある学会で「粉砕不可の徐放錠を半分に割った時にどのように溶けるかを調べた」という発表がありました。徐放錠とは、薬の成分がゆっくり溶け出し、効果が長く続くように加工された錠剤のことです。

 予想通り、徐放錠を半分に割ると通常より早く溶けてしまうことが示されていました。その分、成分が急速に吸収されるため、副作用の危険性が高まるリスクがありますし、本来なら効果が得られるはずだった時間も短くなってしまう可能性があるのです。この点は先日お話しした錠剤の粉砕と考え方はまったく同じです。

 医師が出した処方箋に薬を粉砕するなどのような指示があった場合、薬剤師は医師に対して問い合わせを行います(疑義照会)。薬剤師法第24条においても「処方せんの中に不明確な点があれば、問い合わせなければならない」と明記されているのです。この義務を怠って患者さんに何らかの健康被害が生じた場合には、薬剤師にも責任が生じるものと考えています。

 しかし、粉砕してはいけない錠剤が粉砕されていたり、半錠に割られているケースを時折見かけることがあります。入院時に患者さんがこのような薬を持参された場合には、調剤した薬剤師に理由を尋ねさせていただくこともあります。

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