著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

青森県は20年連続ワースト…死亡率から見える“がんの県民性”

公開日: 更新日:

 がんにも県民性があることをご存じでしょうか。厚労省が毎年まとめている「人口動態統計」には、都道府県別がん死亡データが掲載されています。今月13日にまとまった2023年版によると、75歳未満年齢調整死亡率(全部位)で青森県は86.1で20年連続最下位。北海道も4年連続ブービーで、岩手、秋田と続き、寒い地方のがん死亡率が高い傾向です。

 75歳未満年齢調整死亡率は、人口10万人当たり何人ががんで死亡したかを示しています。昨年の青森は全部位で前年比2.1ポイント悪化。主要部位では、乳房が5年連続、肺が3年連続でワーストです。大腸も、00年からワーストでなかったのは3回だけと厳しい状況が続きます。

 青森は、喫煙率や肥満指数がトップクラスで、食塩摂取量も高い。逆に1日の歩数や野菜摂取量は不足するというデータがあります。大腸がんはがんの中でメタボ的な生活習慣と密接に関係しますから、雪国ならではの冬の運動不足や車社会の影響などが、がん死を高める要因といえるかもしれません。

 逆にがん死亡率が最も低い長野は1995年から2017年以外は一貫して1位で、昨年は95年の88人から35人減の53人に減少し、より死亡率が下がり、青森との差を広げています。その長野は喫煙率も肥満率も低く、野菜摂取量が多い。そして「国民生活基礎調査」における都道府県別のがん検診受診率によれば、長野の受診率は胃、大腸、肺、乳房、子宮頚部の5大がんすべてトップ10に入っていますから、早期発見、早期治療がうまくいっているのでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景