著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がんを調べる線虫検査…多施設調査で分かった陽性的中率の低さ

公開日: 更新日:

 がんを調べる検査はさまざまです。X線やCT、MRI、超音波など一般の方にもおなじみのものから、最近は血液や尿での手軽な検査を打ち出しているものも登場しています。そんな中、線虫を用いたがん検査「N-NOSE」を巡って、多施設調査の結果が発表されたのをご存じでしょうか。今回はそれを掘り下げます。

 N-NOSEは、線虫ががん患者の尿のにおいに反応する性質を利用し、早期から15種類のがんをA~Eの5段階にリスク判定します。「D~E」は「がんリスクが高い」とされますが、どの臓器かは分からないため、判定された人は別の病院などでCTやPETなどで再検査を受けることになります。

 が、N-NOSEで高リスクでもPETでがんが見つからないことが相次ぎ、研究チームがPET検査と比較する全国調査を行い、その結果がまとまったのです。結論からいうと、N-NOSE高リスク判定者のうち15種類のがん発見数は10人で、「陽性的中率」は0.95%でした。

 一般に検診は、その病気かどうか分からない人が受けるものです。しかし、今回のPET検査はN-NOSEで高リスク判定を受けた人で、一般の集団よりがんリスクが高い人が集まっていると想定されますが、1%を下回る陽性的中率は低い数値で、その点を調査結果をまとめた論文でも指摘しています。論文の結論は、検診としての有効性は限られるということです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景